会社設立 建設業許可申請 > 融資・助成金・営業許可について

建設業、運送業、産廃の各種許可、融資、助成金申請もワンストップで行っております。

建設業許可申請お任せ下さい。~安心・確実な建設業許可申請~

建設業許可申請

新規の許可取得、毎年の決算変更届、5年ごとの更新、業種追加、お客様の大切な建設業許可を行政書士が完全サポートします。

建設業許可申請に必要な手続きをお客様にかわって行います。お客様のもとで直接お話しをお伺いして、建設業許可を取得するために必要な条件を満たしているか確認のうえ、申請手続きのすべての代行を致します。


「許可のない会社には仕事は回せません」と急に言われても困ってしまいますね。

当事務所にお問い合わせ頂く相談の中で一番多いのが、建設業許可取得に関する相談です。

建設業の許可を取得するには「経営業務管理責任者」や「専任技術者」が必要といったことぐらいは分かっているかもしれませんが、実際に要件を満たしているのか?

どんな書類を集めればよいのか?

期間・費用はどれくらいかかるのか?

分からないことが多く悩みますよね?

また「建設業の許可を取得したいが、相談に行った事務所で要件が厳しいからと断られた」

「国家資格が必要と言われたけど、うちには持っている人はいないし・・・」など諦めている方も、許可を取得できる可能性があるかもしれません。


上記のようなご相談を本当に多くのお客様から頂いております。是非一度、当事務所へご連絡下さい。

改正建設業法について

平成28年6月1日に改正建設業法が施工されました。

解体工事業の追加、特定建設業の許可や管理技術者の配置、民間工事における施工体制台帳の作成を要する下請け契約の締結に係る金額の変更など、いくつかの改正事項があります。

一括下請負(工事の丸投げ)の禁止

建設業法(第22条)は、原則として、一括下請負を禁止しています。

一括下請負(工事の丸投げ)とは、工事を請け負った建設業者が、施工において実質的に関与せず、下請けにその工事の全部又は独立した一部を請け負わせることを言います。

建設業法に違反すると

建設業者は、営業に始まり実際に工事を施工する時までその時々に応じた建設業法を順守しなければなりません。

建設業法に違反すると、国土交通省や各都道府県知事による行政処分の対象になります。行政処分には、最も軽い業務改善命令から、1年以内の営業停止処分、建設業許可の取り消しまで、違反行為の内容や程度に応じて3種類があります。

建設業許可の29業種

1.土木工事業原則として、元請け業者の立場で総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事であり、複数の下請け業者によって施工される大規模かつ不雑な工事 一般土木は「とび・土工」に該当する工事が多い。(例示)橋梁、ダム、空港、トンネル、高速道路、鉄道軌道
2.建築工事業原則として、元請け業者の立場で総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事であり、複数の下請け業者によって施工される大規模かつ不雑な工事 (例示)建築確認を必要とする新築及び増改築工事
3.大工工事業木材の加工若しくは取り付けにより工作物を築造し、または工作物に木製設備を取り付ける工事、(例示)大工工事、型枠工事、造作工事
4.左官工事業工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗、吹付け、または貼り付ける工事、(例示)左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、、とぎ出し工事、洗い出し工事
5.とび・土工事業足場の組み立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬の配置、鉄骨等の組み立て等を行う工事。くい打ち、くい抜き及び場所打ちぐいを行う工事、土砂等の堀削、盛り上げ、締固め等を行う工事、コンクリートにより工作物を築造する工事、その他基礎的なししは準備的工事 (例示)とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄骨組み立て工事、コンクリートブロック据付工事
6.石工事業石材の加工または積方により工作物を築造し、または工作物に石材を取り付ける工事
7.屋根工事業瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事
8.電気工事業発電設備、変電設備、送配電設工事、構内電気設備等を設置する工事
9.管工事業冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事
10.タイル・れんが・ブロック工事業
れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事
11.鋼構造物工事業
形網、鋼板等の網材の加工又は組み立てにより工作物を築造する工事
12.鉄筋工事業
棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組み立てる工事
13.舗装工事業
道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事
14.しゅんせつ工事業
河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事
15.板金工事業
金属薄板等を加工して工作物に取り付け、又は工作物に金属等の付属物を取付ける工事
16.ガラス工事業
工作物にガラスを加工して取り付ける工事
17.塗装工事業
塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事
18.防水工事業
アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事
19.内装仕上工事業
木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床、タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事
20.機械器具設置工事業
機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事
21.熱絶縁工事業
工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事
22.電気通信工事業
有線電気通信設備、無線電機通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事
23.造園工事業
整地、樹木の植栽、景石の据付け等により庭園、公園、緑地等の苑池を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事
24.さく井工事業
さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事伴う揚水設備設置等を行う工事
25.建具工事業
工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事
26.水道設備工事業
上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事
27.消防施設工事業
火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取り付ける工事
28.清掃施設工事業
し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事
29.解体工事業
工作物の解体を行う工事

建設業許可を受けるための手続きについて

法定書類

1.建設業許可申請書
許可を受けようとする建設業の種類、代表者の氏名、主たる営業所の所在地等、常勤・非常勤役員の氏名
2.工事経歴書
直前の事業年度における建設工事の施工実績について明らかとするもの。
3.直前3年の各事業年度における工事施工金額
建設工事の完成工事高を申請直前3年の事業年度別に明らかとするもの。
4.使用人数
各営業所ごとに建設業に従事する使用人の数を明らかとするもの。
5.誓約書
許可申請者(法人の役員、個人の事業主、支配人)、令第3条に定める使用人(支店または営業所の代表者)または法定代理人が欠格要件に該当しないことについて誓約するもの。
6.登記事項証明書
「登記されていないことの証明書」許可申請者及び令第3条に定める使用人が成年被後見人及び被保佐人に該当しないことを証明するもの。
7.身分証明書
「身分証明書」許可申請者及び令第3条に定める使用人が成年被後見人及び被保佐人とみなされるものに該当せず、また、破産者で復権を得ないものに該当しないことを本籍地の市役所の町が証明するもの。
8.経営業務の管理責任者証明
法人の場合は常勤の役員の中に、個人の場合は、本にもしくは支配人のうちに、建設業に関わる経営経験を有する者がいることについて証明するもの。
9.専任技術者証明書
営業所ごとに選任の技術者をおいていることについて証明するもの。
10.技術検定合格証明書等の資格証明書
専任技術者証明書に記載されたものについて、当該人が営業所の専任技術者としての技術資格を有していることを証明するために添付するもの
11.卒業証明書

12.実務経験証明書

13.指導監督的実務経験証明書

14.国家資格者等・管理技術者一覧表
営業所に専任で配置する技術者以外に、主任技術者等となり得る国家資格者等がどの程度在籍しているかについて明らかとするもの。
15.建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
支配人及び支店・営業所の長に関する一覧表。
16.許可申請者の略歴書
許可申請者についてその経歴及び賞罰を明らかとするもの。
17.建設業法施行令第3条に規定する使用人の略歴書

18.定款
法人の定款(法人のみ添付)。
19.株主(出資者)調書
主要株主・出資者について明らかとするもの(法人のみ添付)。
20.貸借対照表
事業者の財務状況について明らかとするもの。
21.損益計算書・完成工事原価報告書

22.株主資本等変動計算書

23.注記表

24.附属明細表

25.登記事項証明書
商業登記を行っている事業者は、提出が必要となります。
26.営業の沿革
創業時期、過去の行政処分歴等について明らかとするもの。
27.所属建設業者団体
所属している建設業者団体について明らかとするもの。
28.納税証明書
税務署等が発行する以下の税に係る「納付すべき額及び納付済額を証する書面」・大臣免許 法人の場合は法人税、個人の場合は所得税、・知事免許 事業税
29.主要取引金融機関名
主要取引金融機関について明らかとするもの。

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補助金・助成金の申請も対応

補助金・助成金制度

補助金や助成金は、国や地方公共団体等から支給される金銭で、原則的には返済しなくてよいお金です。

補助金は採択予定件数や金額が決まっているものが多く、審査で通らないと受けられません。

また一般的に公募期間(1ヶ月程度)が設けられ、所定の書類とともに申請する必要があります。

そのため、一年間ほどの事業計画を綿密に立てなければなりません。

補助金を利用する際の注意点

①補助金は事業終了後の受給になっている。

補助金の多くは、事業を始める前に支給されるのではなく後払いです。

例えば、3分の2の補助がある補助金を利用して総額600万円の事業を行う場合、補助金400万円は事業終了後に支給されます。

補助金を差し引いた200万円しか資金を用意していないと事業を進められないことになるので、まず事業総額と同額の資金を用意する必要があります。

②事業期間外の支出は経費にならない。

一般的に補助金では事業期間を定めますが、この事業期間外に支出した経費は経費として認められず、補助金を受けられないこともあります。

③報告書等を提出書類はきちんと作成する

事業期間終了後に報告書や支払った際の証憑書類等を提出しなければなりません。

主な補助金・助成金

ものづくり・商業・サービス補助金新商品開発等に取り組みたい
中小企業庁創業技術課
創業促進補助金
企業・創業したい
中小企業基盤整備機構経営支援企画課
小規模事業者持続化補助金
販路開拓に取り組みたい
中小企業庁小規模企業政策室
ものづくり連携支援
研究開発に取り組みたい
中小企業庁経営支援部創業技術課
高年齢者雇用安定助成金
高齢者を雇うため職場環境を改善したい
高齢・障害者雇用支援センター
キャリアアップ助成金

厚生労働省
介護職員処遇改善交付金

厚生労働省

会社設立後の注意点

株主総会を開催し、きちんと総会議事録を残しましょう

多くの3月決算法人では、原則として5月に株主総会を開催しなければなりません。

そして、株主総会を開催したら、必ずその議事録を作成し、保存しておく必要があります。

というのも、議事録は税務調査や裁判などで会社の意思決定を巡って問題となった場合、実際に株主総会が開催され、その場で審議決定されたことを証明する最も重要な書類となるからです。

なお、株主総会や取締役会の議事録の作成保存は、会社法で義務づけられています。

議事録作成のポイント

  • 株主総会は必ず開催する。
  • 議事録にはその審議の実態を記録する
  • 議事録には公証人役場で確定日付受ける

中小企業では、株主が社長とその親族であることが多いため、株主総会が形式的になっているケースがあります。

株主総会は決算の承認、役員の選任、定款変更等の重要事項を決定する会社の最高意思決定機関として法に定められています。

決算は株主総会において確定します。

当期の決算額は確定しました。株主総会の準備は整っていますか。

法人税法では、確定した決算に基づき申告書を提出しなければならならない。と規定され、会社の最高の意思を反映する取締役会・株主総会において承認されて「確定した決算」となるのです。

この確定した決算から法人税の申告調整を行って、誘導的に課税所得を計算し、納税額を計算します。

大株主である私が決算内容を承認していても株主総会が必要なのですか。

毎期、株主総会を開催して決算内容を報告し、会社の業績を客観的に確認することを続ければ、いい緊張感をもって経営に臨むことができます。

株主総会を開催していないと、他の株主や取締役との間に争いが生じたとき、法令違反として責任追及される事態を招きかねません。

役員の選任時には変更登記を忘れずに

決算の承認のほかに株主総会決議すべきことはありますか

剰余金の配当や役員の改選がある場合には、株主総会の決議が必要になります。

剰余金の配当の有無にかかわらず、株主の氏名、名称や住所の異動がないか確認しておきましょう。

会社法によって株主名簿の作成が義務づけられていますから、異動の度に整備しておく必要があります。

取締役や監査役の任期については、定款と商業登記簿謄本で役員の任期満了を確認して、改選決議を失念しないように注意してください。

会社の登記事項に変更が生じた場合、2週間以内に変更登記を法務局(登記所)に申請しなければなりません。

そういえば今年は取締役の任期が満了します。

取締役の就任の場合、株主総会で決議され、本人が就任を承諾すれば株主総会の日から2週間以内に変更登記を申請してください。

役員の選任等、必要事項を登記申請する際、添付書類として「株主リスト」が必要になります。

変更登記を怠った場合には過料の制裁

平成18年の会社法施行によって、非公開会社では取締役と監査役の任期を最長10年まで伸長することができるようになりました。

役員の改選とその登記を忘れないよう注意しましょう。

変更登記を怠った場合100万円以下の過料の制裁があります。

登記懈怠は法務局から裁判所に通知され、裁判所から会社法違反事件として会社の代表者個人に対して過料決定の通知が届くことになります。

社員が入社した時の事務手続き

社員が入社した場合、税務や社会保険について様々な事務手続きがありますので注意しましょう。

①社員から提出を受ける書類や確認事項

必要な書類・雇用保険被保険者証(前職がある場合)
・年金手帳・扶養者の情報
・扶養控除等申告書
・源泉徴収票(前職がある場合)
・履歴書

その他必要に応じて
・健康診断書
・身元保証書・誓約書

②社内での事務手続き

  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 出勤簿
  • 源泉徴収簿

③社会保険・雇用保険の事務手続き

(1)健康保険・厚生年金保険の手続き・・・年金事務所に提出します。

提出書類・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
・健康保険被扶養者届
・国民年金第3号被保険者資格取得届(被扶養者が配偶者の場合)

必要な書類
年金手帳
提出期限
入社日から5日以内

(2)雇用保険の手続き・・・ハローワークに提出します。

提出書類雇用保険被保険者資格取得届
必要な書類
前職の雇用保険被保険者証
提出期限
入社日の属する月の翌月10日まで

パート・アルバイト人は、社会保険の加入義務はあるのか?

加入の目安

健康保険・厚生年金保険
勤務日数が正社員のおおむね3/4以上の人は加入しなければなりません。
雇用保険
1週間あたりの所定労働時間が20時間以上ある。31日以上の雇用見込みがある。

労働保険と健康保険の違い

従業員が仕事中や通勤途中にけが等をした場合は、正社員、パート、アルバイトの別に関係なく、労災保険の給付対象となり、

健康保険を利用することができません。

労災保険
業務中または通勤途中に、従業員がけが、障害、死亡した場合に従業員やその家族に必要な保険給付を行う制度
健康保険
業務中または通勤途中以外で、けがや病気等をした場合必要な保険給付を行う制度

労災があっても労災保険料は上がりません。

中小企業者さんは、労災が発生したからといって保険料を気にする必要はありません。


労災保険に未加入だとどうなる?

労災保険は、アルバイトを1人でも雇うと、会社は労災保険に加入する義務があります。

未加入が発覚すると、強制加入となり、加入前の労災についても給付が行われますが、保険給付に要した費用の全部または一部と、過去2年分の保険料と追徴金が徴収されます。

中小企業の事業主や1人親方でも労災保険の対象にできる。労災保険の特別加入制度もあります。

社員の60才以降の働き方を考える。

社員が60才迎えると、以前は定年退職というのが一般的でしたが、現在は、法令によって原則として

社員が引き続き雇用を希望する場合には、雇用しなければなりません。

経営者は、給与、年金、雇用保険の給付等を考慮しながら今後の働き方を検討する必要があります。

Ⅰ60才以降の働き方

60才を迎えた社員に対して、経営者は本人と話し合って、次の三つを選択する必要があります。

引き続き正社員として、これまで通りの労働時間でフルに働いてもらう

  1. 労働時間を調整(時間短縮)して働いてもらう

  2. 退職する(新たな人材確保が必要)


60才以降の雇用については、社員の合意のもと、定年延長(60才→65才)、継続雇用、定年廃止等の制度を作っていくことが必要です。

一般的に、継続雇用制度(勤務延長、再雇用)を導入している企業が多くなっています。

1.勤務延長
定年を60才にしたまま、定年に達した労働者を退職させることなく引き続いて雇用する制度です。
2.再雇用
定年に達した労働者を一度退職させたあと、再び雇用する制度です。再雇用にあたって、労働条件等を見直すことができるため、この制度を導入する企業が多いようです。

Ⅱ給与と給付、年金の組み合わせを考える。

60才を迎える社員は、通勤ラッシュ回避や趣味の時間を増やす等の理由で短時間勤務にしたい、或いは勤務時間を減らさず数年は頑張って働きたい、等様々な要望を持っています。

そのような要望ともすり合わせながら、社員の収入確保を考えた給与のあり方を検討しましょう。

仕事の内容や勤務形態を変える場合には、「給与+雇用保険の給付+(年金)」の組み合わせで給与を再設計する方法があります。

1「給与+高年齢雇用継続給付」の場合
現在は老齢厚生年金(報酬比例部分)のを支給開始年齢(65才まで)の段階的引き上げの途上にあり、例えば60歳になる男性の場合は年金支給が63歳からになります。
従って年金支給開始年齢までの間、高年齢雇用継続給付の活用と合わせて、給与をどのくらいの額にするか検討が必要になります。
63才から給与を再設定することも可能です

2「給与+高年齢雇用継続給付+年金」の場合
すでに年金支給開始年齢に達している社員の場合、年金の月額を(基本月額)と給与月額(総報酬月額相当額)の合計額が28万円以下であれば、年金を全額受け取ることができます。
28万円を超えると一定の計算式に基づいて年金が減額されます。
なお、社員が65才以上になると計算式が異なります。
高年齢雇用継続給付を受けている場合には、さらに年金の一部がカット額(賃金額の0%~ら6%が目安)されます。

60才以降の年金と雇用保険の給付による収入確保の手段

1.在職老齢年金(厚生年金)
「在職老齢年金」とは、働きながら支給される厚生年金のことです。
ただし、年齢と性別によって、支給開始年齢が異なります。
また給与額によって年金の全額または一部がカットされます。

2.高年齢雇用継続給付(雇用保険)
60才以降の賃金が60才時点の75%未満に下がると、雇用保険から高年齢雇用継続給付金が支給されます。
支給額は60才以上65才未満の各月の賃金が60才時点の賃金の61%以下に低下した場合は、各月の賃金の15%相当額となり、
60才時点で賃金の61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて、各月の賃金の15%相当額未満の額となります。

儲かるか損をするかー損益分岐点分析

取引先からの値引き要求などがあったときには、まず採算が取れるかどうかをよく検討する必要があります。

そのためには損益分岐点の考え方を知っておくと便利です。

損益分岐点とは、損益がトントン(収益=費用)になる限界点のことで、売上高が損益分岐点を上回れば黒字となって利益が生じ、反対に下回れば赤字になります。したがって、黒字か赤字かの損益分岐点をきちんと掴んでおくことは経営上重要といえます。

損益分岐点はどうやって求める

損益分岐点は費用を売上高の増減に応じて変動する変動費と売上高の増減にかかわらず固定的に発生する固定費とに区分して、固定費を粗利益率で割る(固定費÷粗利益率)ことで求めることができます。

具体的に、単価200円の商品を毎月10,000個販売する A 社のケースで損益分岐点を計算してみましょう。

弊社では、月平均の固定費が70万円(人件費40万円、諸経費30万円)ですから、粗利益率が40%の場合、損益分岐点は、8,750個、売上金額は、175万円ということになります。

すなわち、 A社では、月間に8,750個以上(175万円以上)売上れば黒字になり、これを下回ると赤字になることがわかります。

10%値引きするとどのような影響があるか?

商品等の値引き、値下げをすると、仕入原価の引き下げや製造原価の低減がない限り、粗利益率が低下してしまうため損益分岐点が高くなってしまいます。

前述のA社が、単価200円の商品に対して、10%の値引き(単価180円)を行った場合、損益分岐点は約210万円となります。

このように10%値下げすると、損益分岐点は、11,667個(約210万円)と高くなるため、現在の月平均売上数10,000個よりも多く売らなければ赤字となってしまいます。

つまり、10%値引きすると、個数で33%以上、売上で20%以上をアップしなければならないことになります。すなわち、値引きをすると値引きの割合以上に売上を伸ばさなければならないことになります。この点に注意して下さい。

値引き、値下げができる限界点を正確に掴んでおくことは、企業規模の大小や業種に関係なく重要です。値引き要請があった場合、安易に受けるのではなく、損益分岐点による分析を行い、その影響正しく把握した上で総合的に判断するようにしましょう。

勤務時間・体制の変更に伴う労働問題

節電や増産のために深夜・休日操業を実施

節電対策だけでなく、短期納品の必要性など様々な理由で、勤務体制の変更や勤務時間をシフトさせることがありますが、そのような場合は特に次の2点に注意しましょう。

  • 割増賃金が必要になるケースがあること。
  • 就業規則などの変更が必要になること。

できるだけコストアップにならず、社員にとっても働きやすい効果的な勤務体制を考える必要があります。
勤務時間の変更パターンと注意点

パターン1
就業時間を2時間繰り上げる

例えば、就業時間が午前9時~午後6時の会社が、始業時間を2時間繰り上げて、午前7時~午後4時にしたとします。この場合、労働時間自体は変わらないため、割増賃金の対象にはなりません。ただし、就業規則に始業時間を繰り上げる期間と変更後の時刻についての記載が必要になります。

パターン2
休憩時間の時間帯を変える

消費電力ピーク時間帯の中でも、電力需要が最も高くなる午後1時~午後3時の時間帯に休憩をとることで、消灯や生産設備の停止などを行うようにしたとします。例えば、就業規則で休憩時間を午後0時~午後1時の1時間としている場合に、午後1時~午後3時の間1時間と就業規則を変更しても、割増賃金等の問題は発生しません。

パターン3
昼間の操業から夜間へシフトする

電力消費が大きい製造業や機械設備を使う企業が、平日の操業度を下げるために、勤務時間を昼間から夜間へシフトしたとします。

例、変更前 午前9時~午後6時 → 変更後 午後10時~午前7

深夜労働が伴うため、通常の労働時間の賃金の25%以上の割り増し賃金を支払う必要があります。※午後10時から翌朝5時まで

パターン4
勤務日を電力の少ない休日に振り替える。

勤務日を平日から休日に変更するには、次の二つの方法があります。

①就業規則の夏季の所定休日の規定を、例えば日曜日から木曜日等に変更する。

②就業規則は変更せず、必要な都度、振替による休日変更を行う。


①の場合、休日を固定した曜日にしてしまうと状況が変わってしまうこともあるのであまりおすすめできません。

②の方法であれば、前日までに休日の変更を伝えるだけで良いために有効です。

勤務形態の変更は、労働条件の変更にあたるため、就業規則の変更が必要になります。社員10人未満の会社など、就業規則がない場合には、社員の個別の同意が必要になります。この場合、雇用契約書などの書面を交わしておきます。

海外企業との取引を行う際のチェックポイント

  1. 海外企業と取引を行う場合、最も重要なのは契約書です。海外企業との取引に国内取引での常識は通用しません。契約書に書かなくてもわかるだろうという考えは禁物です。またあとで自社に不利益な内容であることに気づいても、一旦、契約書にサインをしてしまうと、契約書の内容に拘束されますので、サインをする前に、きちんと内容を理解する必要があります。例えば、仮に、 A社がサインした契約書に、「 X 社は商品の欠陥について一切責任を負わない」と定められていたとすれば、欠陥商品であっても、 A社は、代金を支払わなければなりません。

  2. 売買契約書の注意点
    実際に海外企業と売買契約を締結する際の一般的な注意点は以下のとおりです。

①商品の仕様
商品の仕様を明らかにすることは、誤解や紛争の発生を未然に防ぐために重要です。
②貿易条件
海外企業との売買では、航空輸送や海上輸送を伴います。輸送にかかる費用、輸送中の保険料などの貿易条件を事前に明確に取り決めておくことが大事です。
③代金支払条項
海外企業との売買では、航空輸送や海上輸送を伴います。輸送にかかる費用、輸送中の保険料などの貿易条件を事前に明確に取り決めておくことが大事です。
④保証条項
商品を買う場合には、その企業が商品の品質を保証しているか、責任の範囲がどこまでなのかについて確認することが必要です。
⑤準拠法
外国法の内容が日本法と異なることが多々あるため、日本企業にとっては、準拠法を日本の法律にすることが望ましいといえます。
⑥紛争解決方法
契約書では、紛争を持ち込む裁判所または仲裁機関を双方で合意しておくべきです。外国の裁判所に紛争が持ち込まれた場合、日本の裁判所では予想できないような判断がされることもあります。

売上アップの取り組み

一般に、不況になると需要が減少し、企業の売上や利益が減少します。しかし、不況下でも業績を伸ばしている企業は少なくありません。実際に、バブル崩壊(9193年)、金融危機(9798年)、 IT バブル崩壊(12年)、リーマンショック(8年)などによる大きな不況下においても、3割の企業が業績を伸ばしています。

そのような企業には次のような特徴があるそうです。

①特定の市場や顧客、商品への過度な依存がない

②景気に左右されにくい独自の商品・サービスがある。

③景気へ流行に流されず、本業に徹している。

④新しい商品・技術・サービスの研究開発を怠らない。

⑤業績不振を景気のせいにしない。


売上アップのためにできることはないかをチェックしてみましょう。


  • 商品等の品質をもっとアップできないか。
  • 商品等をより差別化できないか。
  • 商品等の販売方法を変えられないか。
  • 商品等をブランド化できないか。
  • 商品等を新たな地域や年代に販売できないか。
  • 地域や顧客層など対象を限定できないか
  • 商品等の付加価値を高められないか。
  • 商品等を高価格化できないか。
  • 商品等をもっとコストダウンできないか。

中小企業経営を応援する最新の補助金等

毎年、中小企業を応援する様々な種類の補助金制度が実施されています。自社にマッチする制度があれば、早めに申請しましょう。

ITツールの導入を応援する「IT補助金」

中小企業者等が、業務効率アップや新たな顧客獲得等(売上アップ)を目指して、ITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する場合に、その費用が補助されます(補助額:15万円~50万円、補助率1/2)。

 サービス業(飲食・外食系など)、医療業、介護事業、宿泊業、児童福祉事業、ソフトウエア業、卸売業、小売業、運輸業など様々な業種が対象になる補助金です。

 この補助金を受けるには、生産性向上計画を作成・提出し、自社の成長戦略(事業課題、将来計画等)とIT等の導入設備の必要性を明確にし、導入後はその成果(労働生産性の向上率等)を報告する必要があります。

 

導入例

  • 個々の顧客の好みや、アレルギー等をITツールで記録・分析して、ニーズにあった料理を提供することでリピーターの獲得や、余剰在庫・廃棄費用の削減を可能にした。(飲食業)
  • 商品の在庫管理を一括データ化したことで業務効率の改善を図るとともに、他店舗との連携が迅速化された。(小売業)
  • 顧客が、ネットを通じて、商品の配送状況をリアルタイムに確認できるようにしたことで、問い合わせを大幅に減少させた。(運輸業)
  • 新規顧客の獲得や予約率向上を図るため、予約状況をデータで一元管理する仕組みを導入した。(宿泊業)
  • 電子カルテで、患者の健康状態や診断結果等の情報を院内で共有し、突発的な事象にも迅速に対応できる体制を作った。(医療業)

事業承継をきっかけとした経営革新等を支援する「事業承継補助金」

中小企業が、事業承継をきっかけとして、経営革新や事業転換など、新しい取り組みを行う場合に、設備投資・販路拡大、既存事業の廃止等に必要な経費の2/3が補助されます(新たな取り組みについて、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の支援を受けること)。

「補助内容」

  1. 事業所の廃止・既存事業の廃止・集約を伴わない場合:100万円以上~200万円以内

  2. 事業所の廃止・既存事業の廃止・集約を伴う場合:100万円以上~500万円以内

事例:仙台の経営資源と後継者のアイデアをいかして業態を転換

老舗の鮮魚店A社は、スーパーなど協業の増加で業績が低迷するとともに、店舗の老朽化が進み改装が必要になっていました。事業承継にあたり、後継者の経験とアイデア、先代の経営資源である鮮魚の仕入れルートを活かして、鮮魚を提供する創作料理店へ業態転換を図るとともに、店舗の改装に事業承継補助金を活用しました。現在、地域で評判の料理店となっています。    

経営改善計画の作成を応援する

経営改善への取り組みが必要な中小企業が、認定支援機関の助言を受けながら、①経営改善計画及び、②早期経営改善計画を作成する場合に、計画作成費用(モニタリング費用を含む)の2/3が補助されます(上限20万円)。

経営改善計画策定支援

借入金の返済負担等の財務上の問題を抱え、企業支援を含む抜本的な経営改善が必要な中小企業に対して、認定支援機関が経営改善計画の作成や金融機関との協議などを支援します。

早期経営計画策定支援

資金繰り管理や採算管理など、基本的な内容の経営改善の取り組みが必要な中小企業に対して、早期段階において認定支援機関が簡易な経営改善計画の作成を支援するとともに定期的なモニタリングを行います。

その他

ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金

    1. 一般型 認定支援機関と連携して、中小企業・小規模事業者が行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等の費用の1/2が補助されます(上限1000万円、専門家活用の場合、上限30万円増)。

      ※先端設備導入計画又は経営革新計画の承認を取得し、一定の要件を満たす場合は、補助率が2/3にアップ

    ②小規模な額で行う場合は、設備投資を伴わない試作開発も含まれます(補助率1/2(小規模事業者は2/3、上限500万円、専門家活用の場合、上限30万円増)。

    小規模事業者持続化補助金

      経営計画に基づいて実施する販路開拓等に取り組むための費用が補助されます(補助率2/3、上限50万円)。

       計画の作成や販路開拓の実施の際、商工会議所の指導・助言が受けられます。

      (対象となる取り組みの例)

        1. 新たな顧客層を狙ったチラシの作成・配布(広告宣伝費)

        2. 集客力を高めるための店舗改装(外注費)

        3. 新たな販路を求めて、国内外の展示会、商談会に出店(展示会等出展費)

        4. 新たな市場を狙い、商品パッケージや包装紙、ラッピングのデザインを変更(開発費)     

      労務トラブル社員の解雇

      勤務態度不良や能力不足などを理由として、会社が社員を解雇する例があります。しかし、このような社員の解雇は、後で裁判に発展するケースがよくあります。

      「遅刻や無断欠勤が多い」「業務命令を拒否した」「会社にあわない」「能力が低い」などを理由に、社員を解雇する例があります。

      しかし、裁判例では、労働者保護の観点から、問題のある従業員でぁっても、安易な解雇を認めないケースがほとんどのようです。

      会社は、解雇する前に、注意や指導、警告を繰り返し行うとともに、懲戒処分、降格等により、社員が自ら改める機会を与え、その結果として、勤務態度が改善されるかどうかを見極める必要があるということです。

      言い換えると、会社は、「社員自らが改善するようにもっと努力しなさい」ということです。会社にとっては、かなり厳しい考え方と思われますが、裁判では、会社が解雇を避けるために「どれだけ努力したかどうか」がかなり重要視されます。

      実際の裁判では、従業員に問題があり、解雇理由にはなるが、本件の解雇は社会通念上、相当として是認できないため違法である。とした判決もあり、冒頭の「安易な解雇を認めない」という意味がおわかりいただけると思います。

      改善の機会を繰り返し与えること

      会社としては、勤務態度が著しく問題のある社員に対しては、改善の機会を与える目的で次のような対応をとる必要があります。

      • 注意や指導を繰り返し行う
      • 注意や指導を行った日時とその内容を記録として残す
      • 問題があったときは、再発防止策を含む始末書括(反省文)を提出させる。等

       

      実際に勤務態度に問題があった社員を解雇して訴訟となった事例では、会社が以上のような対応を繰り返して行ったにもかかわらず、その後改善がみられなかったためにやむなく解雇したことが認められたケースもあります。

      実際の現場では、あくまで社員によくなってもらうことを前提として注意、指導していきましょう。

      売掛金の回収は大丈夫

      今後、取引先の業績悪化から、支払遅延が増え、そのまま売掛金の回収ができなくなるという事態も十分予想されます。

      中小企業では、支払が遅延している取引先に対して、何の対応も取られていなかったり、ついつい情に流されたり、弱腰になってしまいがちですが、自社まで窮地に陥るという事態は避けなければなりません。

      売掛金回収は、回収状況常をチェックし、支払遅延に対しては、相手先に連絡し、その理由を聞くなどを、回収に対する自社の姿勢や行動を明確にしておきましょう。

      未回収の長期売掛金は、金融機関から「不良債権ではないか」とみられ、信用を落としかねません。

      チェックリストを参考に、自社の売掛金回収体制を点検してみましょう。

      売掛金回収体制の点検をしてみよう。

      • 毎月、請求書は誤りや漏れがないよう確実に発行していますか。
      • 得意先ごとの売掛金の状況を把握し、入金や回収漏れチェックしていますか。
      • 売掛金の状況について社長、営業担当、経理担当との間で情報を共有化していますか
      • 決算前などを定期的に売掛金の残高確認証を取引先に送付していますか。
      • 支払遅延があれば金額の多少にかかわらず相手に理由を確認し、確実に支払ってもらう日時を相手と取り決めていますか。
      • 未払いの理由で不合理であれば、以後の販売を見合わせたり、在庫の引き上げや法的手段で対応していますか。
      • 長期の大口の滞留売掛金については、社長自らが回収にあたっていますか。

      労務トラブル防止、労働時間とは

      労働時間に対する認識不足や誤解が、労務トラブルに繋がる事例があります。労働時間の残業時間についての基本を押さえておくことで、トラブルを避けるだけでなく就業規則の整備にも役立ちます。

       

      法定労働時間と所定労働時間

      ①法定労働時間

      労働基準法32条で定められた時間です。1週間に40時間、1日につき8時間までと定められています。「~まで」となっているのは、すべての労働者の労働時間を一律に定めているのではなく、上限を8時間と定めていることに注意しましょう。この上限時間は原則として、個々の企業で自由に変えることができません。

       

      ②所定労働時間

      法定労働時間の範囲内で、会社が決定した労働時間です。(17時間、7時間30分など)9時始業で17時終業(休憩1時間)の場合、所定労働時間は7時間となります。

       

      休憩時間は何時間必要なの

      休憩時間 

      1日の労働時間に応じて、次のように労働時間の途中に休憩時間を一斉(原則)に与えなければなりません。ただし1日の労働時間が6時間未満の場合は、休憩を与えなくても問題ありません。

       

      ③定められた労働時間を超えると。

      残業(時間外労働時間)

      残業時間のことを、法令では時間外労働といいます。残業には、法定内残業と法定外残業があります。

      なお、1日の労働時間だけでなく、一週の労働時間でも同様に、法定内残業、法定外残業が生じます。(例、休日出勤した場合)

      法定内残業…所定労働時間が終了した時刻から、法定労働時間(1日の上限)である8時間にあたる時刻までの部分の残業

      法定外残業…法定労働時間である(1)8時間超えて残業した部分

           

      労務トラブル事例に学ぶ

      最近、どうもトラブルが増加する傾向にあります。労務は、人の問題でもあり、なかなか対応が難しいというのが実状ですが、日頃から必要な労働関係書類等を整理しておくことである程度は対応が可能です。

      事例1 ある日突然、退職者従業員から未払賃金の支払い請求がきた。

      よく働くと長時間を勤務も黙認

      Aさんは勤務実態より毎日2時間ほど早く出勤して仕事を始め、帰りも勤務時間より遅く会社を退社することが常態化していました。会社側ではAさんを、好意的に解釈して長時間勤務を黙認していました。

      3年ほどが過ぎたある日、突然 A さんから今日で仕事をやめるという内容の退職届がタイムカードのコピーとともに郵送されてきました。

      正社員であるAさんについては月給制だから勤怠管理書類は不要だろうという会社の判断で勤怠管理を行っていませんでした。

      しかし、Aさんは予備のパート用タイムカードを利用して、自身の勤務時間のすべてを記録していました。それから、2週間後、会社に、今度は次のような内容証明郵便が届きました。

      退職日前3年間の残業手当として2100万円の支払いを請求します。なお指定期日までに支払いがない場合、労働監督基準署に申告のうえ、訴訟等の法的措置も検討しております。

      労働関係書類が未整備のため証拠がない

      会社側では採用条件月給50万円は、相場と比べてかなり高い条件であることから、当然、残業代込みのつもりでいたため残業手当を支給したことは一度もありません。

      また、雇用契約書には基本給50万円としか明記していませんでした。

      さらに賃金台帳も作成していなかったためAさんや第三者(労働基準監督署や裁判所)に対して会社が想定する残業代相当額の金額や時間数の内訳を証拠として示すことができませんでした。

      会社側が社会保険労務士などに相談したところ、次のような回答でした。

      1. 未払賃金に対する請求時効は2年間であるため、3分の1程度の減額は出張できる
      2. 労働基準監督署へAさんが個別申告を行った場合には、以下の点から見て、最近の2年間分については、賃金未払いによる是正勧告を命ぜられる可能性が高いといえる。

      • 労働時間の管理がされていなかった。
      • 就業規則が不備であった。
      • 残業等を黙認していた。
      • Aさんにタイムカードによる証拠がある。
      • 是正勧告に従わない場合には書類送検される可能性もある。
      • 民事訴訟になった場合、Aさんからの遅延利息や附加金の請求も合わせて行われる可能性がある。

      請求金額の一部支払いで和解

      内容証明に記載された請求金額全額の支払いは、時効部分の主張により免れましたが、結局1400万円近い金額を支払うことで和解に至りました。

      この事例から学ぶべきポイント

      労働関係書類は必ず作成する。

      未払賃金と材料の問題は、退職、解雇から発生しやすいといえます。必要な労働関係書類を整理せず、所内のルールも曖昧なままにしておくと、思わぬトラブルが起こったり、今回のような突然の出来事にあたふたして、会社側のしっかりした主張ができない可能性があります。トラブルの防止や、万一の備えとして、まずは雇用契約書、賃金台帳、出勤簿などの労働関係書類を整備することからはじめましょう。

      雇用契約書を必ず作成する。

      未払賃金と材料の問題は、退職、解雇から発生しやすいといえます。必要な労働関係書類を整理せず、所内のルールも曖昧なままにしておくと、思わぬトラブルが起こったり、今回のような突然の出来事にあたふたして、会社側のしっかりした主張ができない可能性があります。トラブルの防止や、万一の備えとして、まずは雇用契約書、賃金台帳、出勤簿などの労働関係書類を整備することからはじめましょう。

      雇用契約書を必ず作成する。

      雇用契約の内容は必ず書面で残してください。残業代込みの月給の場合、その時間数と金額を明確に書面に記載しておきます。

      賃金台帳を給与支給の都度作成する

      従業員ごとに毎月の給与計算のもとになった資料があるはずです。それをまとめたものが賃金台帳です。3年間保存します。事例のようなケースでは、雇用契約書の内容を反映した支払事実を証明する証拠としての役割がありますので、必ず給与の支給のつど作成します。

      出勤簿で不就労時間を管理する

      給与体系の違う社員ごとに必ず出勤簿、タイムカード等は、その管理方法の違いを明確にするために様式を分けるようにします。月給制の場合には所定勤務時間外の就労時間を記載させるようにし、各日ごとの残業時間が一目でチェックできるようにします。     

      就業規則を見直す

      すでに就業規則がある場合は残業手当、残業のルールなどを明確にして実際に適正に運営するようにします。また、就業規則がない場合には、この機会に整備しましょう。

       

      中小企業の多くは、従業員と良好な関係のもと勤務時間、勤務形態、勤務の仕方について話し合っていますが、その内容を文書にして残していないところがほとんどです。専門家とよく相談し、自社の労務管理をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。     

      毎月の業績を正しく把握する 現金主義と発生主義

      現金の動きを見るか、物の動きを見るか

      記帳の方法には、現金主義と発生主義があります。

      現金主義とは、現金の動き(入出金)を見て、取引を記帳する会計処理です。

      発生主義とは、商品の出荷、納品、入庫など物の動きを見て、記帳する会計処理です。

      期中において、現金主義で会計処理した場合でも、期末には発生主義に組みかえる必要があります。

      具体的に現金主義と発生主義の違いを見ていきましょう。

      ①売上計上の違い

      現金主義の場合、代金の入金(売掛金の回収)があった時点で売上げを計上します。そのため、商品を販売した時点では、売上げや売掛金が記帳されていないことになります。これに対して、発生主義の場合、取引先に商品を販売した時点で、売上げや売掛金を計上します。

      ②仕入計上の違い

      現金主義の場合、仕入代金を支払った時点で仕入を計上します。そのため、商品を仕入れた時点では、仕入や買掛金は記帳されていないことになります。これに対して、発生主義の場合、仕入先から商品が納品された時点で仕入や買掛金を計上します。

       

      このように、発生主義は現金の入出金にとらわれずに、売上や仕入を計上するため、毎月の業績を正しく把握することが可能です。また、発生主義では商品の引き渡しと同時に売掛金が計上され、仕入先からの納品時に買掛金が計上されるため、資金繰りの予定が早めにつかめるうえ、請求や回収の漏れ防止にも役立ちます。


      資金繰りのための公的融資制度

      中小企業・小規模事業者が利用できる、国による低利あるいは無担保・無保証の融資制度等がいろいろあります。

      ただし、あくまでも借入れですので利息とともに返済しなければなりません。

      ①小規模事業者向けの無担保・無保証人の融資制度・・・マル経融資

      マル経融資は、商工会等の経営指導を受けている小規模事業者に対し、経営改善のための資金を無担保・無保証人・低利で融資する制度です。

      要件

      • 商工会議所の経営指導を原則6ヶ月以上受けていること
      • 各種税金を原則として完納していること
      • 1年以上事業を行っていること
      • 日本政策金融公庫の融資対象業種であること

      ②資金繰り難の際に受けられる融資制度・・・経営環境変化対応資金(セーフティーネット貸付)

      業績が悪化し資金繰りに困難をきたしている場合などに、低利の融資が受けられる制度です。

      要件

      • 最近の決算期に売上高が前期または前々期に比べて、5%以上減少している事業者など

      ③倒産防止共済の契約者が臨時に利用できる融資制度・・・一時貸付金

      取引先の倒産以外でも、契約者は臨時に必要な資金の貸し付けが受けられます。     

      健康保険、厚生年金の標準報酬が切り替わります。

      1月に提出した健康保険・厚生年金の報酬月額算定基礎届にもとづいて新標準報酬が決定され、9月から健康保険・厚生年金の標準報酬月額が切り替わり、保険料率も改訂されています。その通知は年金事務所(または健康保険組合)から送られてきます。

      新しい標準報酬と改定後の料率による保険料は、10月に支給する給与から徴収を開始します(通常は、9月に改定し、保険料は翌月の10月から徴収します)。被保険者保険料台帳や賃金台帳などに転記するなど準備をしておきましょう。     

      6月は労働保険の年度更新手続きがあります。

      労働保険(雇用保険と労災保険)は、毎年61日から710日までの間に「年度更新」の手続きが必要です。保険の給付は、雇用保険、労災保険がそれぞれ個別に行われますが、保険料の徴収等については労働保険として、一体で取り扱われています。「年度更新」では、賃金総額の見込額で算定した概算保険料に対する確定申告(精算)と新年度の概算保険料の申告を合わせて行います。     

      売上アップの取り組み

      一般に、不況になると需要が減少し、企業の売上や利益が減少します。しかし、不況下でも業績を伸ばしている企業は少なくありません。実際に、バブル崩壊(9193年)、金融危機(9798年)、 IT バブル崩壊(12年)、リーマンショック(8年)などによる大きな不況下においても、3割の企業が業績を伸ばしています。

      そのような企業には次のような特徴があるそうです。

      ①特定の市場や顧客、商品への過度な依存がない

      ②景気に左右されにくい独自の商品・サービスがある。

      ③景気へ流行に流されず、本業に徹している。

      ④新しい商品・技術・サービスの研究開発を怠らない。

      ⑤業績不振を景気のせいにしない。

       

      売上アップのためにできることはないかをチェックしてみましょう。

      • 商品等の品質をもっとアップできないか。
      • 商品等をより差別化できないか。
      • 商品等の販売方法を変えられないか。
      • 商品等をブランド化できないか。
      • 商品等を新たな地域や年代に販売できないか。
      • 地域や顧客層など対象を限定できないか
      • 商品等の付加価値を高められないか。
      • 商品等を高価格化できないか。
      • 商品等をもっとコストダウンできないか。

      売掛金の回収は大丈夫

      今後、取引先の業績悪化から、支払遅延が増え、そのまま売掛金の回収ができなくなるという事態も十分予想されます。

      中小企業では、支払が遅延している取引先に対して、何の対応も取られていなかったり、ついつい情に流されたり、弱腰になってしまいがちですが、自社まで窮地に陥るという事態は避けなければなりません。

      売掛金回収は、回収状況常をチェックし、支払遅延に対しては、相手先に連絡し、その理由を聞くなどを、回収に対する自社の姿勢や行動を明確にしておきましょう。

      未回収の長期売掛金は、金融機関から「不良債権ではないか」とみられ、信用を落としかねません。

      チェックリストを参考に、自社の売掛金回収体制を点検してみましょう。

      売掛金回収体制の点検をしてみよう。

      • 毎月、請求書は誤りや漏れがないよう確実に発行していますか。
      • 得意先ごとの売掛金の状況を把握し、入金や回収漏れチェックしていますか。
      • 売掛金の状況について社長、営業担当、経理担当との間で情報を共有化していますか
      • 決算前などを定期的に売掛金の残高確認証を取引先に送付していますか。
      • 支払遅延があれば金額の多少にかかわらず相手に理由を確認し、確実に支払ってもらう日時を相手と取り決めていますか。
      • 未払いの理由で不合理であれば、以後の販売を見合わせたり、在庫の引き上げや法的手段で対応していますか。
      • 長期の大口の滞留売掛金については、社長自らが回収にあたっていますか。

      労務トラブル防止、労働時間とは

      労働時間に対する認識不足や誤解が、労務トラブルに繋がる事例があります。労働時間の残業時間についての基本を押さえておくことで、トラブルを避けるだけでなく就業規則の整備にも役立ちます。

       

      法定労働時間と所定労働時間

      ①法定労働時間

      労働基準法32条で定められた時間です。1週間に40時間、1日につき8時間までと定められています。「~まで」となっているのは、すべての労働者の労働時間を一律に定めているのではなく、上限を8時間と定めていることに注意しましょう。この上限時間は原則として、個々の企業で自由に変えることができません。

       

      ②所定労働時間

      法定労働時間の範囲内で、会社が決定した労働時間です。(17時間、7時間30分など)9時始業で17時終業(休憩1時間)の場合、所定労働時間は7時間となります。

       

      休憩時間は何時間必要なの

      休憩時間 

      1日の労働時間に応じて、次のように労働時間の途中に休憩時間を一斉(原則)に与えなければなりません。ただし1日の労働時間が6時間未満の場合は、休憩を与えなくても問題ありません。

       

      ③定められた労働時間を超えると。

      残業(時間外労働時間)

      残業時間のことを、法令では時間外労働といいます。残業には、法定内残業と法定外残業があります。
      なお、1日の労働時間だけでなく、一週の労働時間でも同様に、法定内残業、法定外残業が生じます。(例、休日出勤した場合)

      法定内残業…所定労働時間が終了した時刻から、法定労働時間(1日の上限)である8時間にあたる時刻までの部分の残業

      法定外残業…法定労働時間である(1)8時間超えて残業した部分

      労務の届出窓口

      総務・経理担当者にとって、社会保険や労働保険に関する会社の手続きを行う場合、どこに何を届出すればよいのか迷うことが多いといいます。

      労務関連(社会保険・労働保険)の事務には、次のようなものがあります。

      • 社員の入社、退社、扶養の手続き
      • 氏名や住所変更の届出
      • ケガ、病気、事故による給付申請
      • 出産、死亡、育児・介護による給付申請
      • 給与関連(給与金額変更、賞与支払いなど)の届出
      • 会社に関係すること(設立関連、社名変更、代表者変更、住所変更、支店開設など)の届出
      • 労使協定関連の届出 等々

      これらの事務は、届出窓口(行政窓口)が異なりますが、社会保険関連は、健康保険協会や年金事務所、労働保険関連は、労働基準監督署やハローワークになります。

      ただし、社会保険について、会社が健康保険組合や厚生年金基金に加入している場合は、原則として、、それぞれの組合、基金への手続きが必要になります。それぞれの窓口へご確認ください。

      経理・総務担当者の方へ

      労務事務に関する手続きは、次の三つの柱を押さえとけばわかりやすい。

      入退社に伴う事務

      ②社員の異動や会社所在地等の変更に伴うスポット的な事務

      ③年間で定期的に行う事務(労働保険の年度更新や社会保険の算定手続きなど)

      残業時間の削減に取り組む

      残業代は経営者にとって頭の痛い問題です。他社の残業時間の削減への取り組み事例も参考にしてみてはいかがでしょうか。

       ケース 従業員自身が週1日の「ノー残業デー」で設定

       ケース2  残業の事前承認により残業時間を削減

      なぜ残業が多いのか(製造業の例)

      業務の特性に関わるもの

      • 納期の厳しい仕事が多い。
      • 急な注文や突発的な仕事が多い。
      • 季節や曜日、月の前後などで業務量の変化が激しい
      • ボトルネック(流れ作業の効率が悪い箇所)となる部門、工程があり、他に影響している。
      • 機械設備等の故障やトラブルによって手待ち時間が多い。
      • 毎日の業務計画が明らかにされていない。
      • 部門間、工程間の連携や調整が行われていない。
      • 仕事の進め方、手順が標準化されていない。
      • 早く帰りにくい雰囲気や社内にある。
      • 人事評価において残業する社員への評価が高い。
      • 業務内容が企画、開発型である。

      その他の理由

      • 同じ仕事量でも従業員によって作業時間の差が大きい。
      • 不慣れ、成長途上の社員が多い。
      • 仕事の段取りが悪い
      • 非効率な会議に時間がかかり、業務に食い込んでいる。
      • 品質や仕上がりへのこだわりが強すぎる
      • 昔からのやり方をずっと続けている。
      • だらだら残業やつき合い残業が多い。
      • 残業すると、残業代以外にもコストアップになることの意識が低い
      • 残業代をあてにしている。

      従業員が業務中に自動車事故を起こした時の会社の責任

      従業員が自動車事故を起こしてしまった場合、会社にはどのような責任があるのでしょうか、事故の態様によって責任に違いはあるのでしょうか。     

      1.使用者責任、運行供用者責任を問われる。

      ①使用者としての使用者責任

      従業員が、業務中などに自動車事故を起こした場合、事故の直接の加害者である従業員は、被害者に対して「不法行為責任」を負い、被害者は損害賠償を請求できます。
      また、会社も、使用者として「使用者責任」を問われることが多くあり、この場合、損害の全額について従業員と連帯して責任を負うことになります。 

      ②人身事故の場合の運行供与者責任

      人身事故の場合は被害者保護の観点から、従業員と会社はともに「運行供用者責任」を負うことになります。

      2.責任を負う範囲について

      使用者責任と運行供用者責任のいずれの場合も、従業員と会社は被害者に対して全額の賠償義務を負うことになります。被害者は従業員と会社のどちらにも全額の賠償を求めることができ、一般的には、会社のほうが賠償能力が高いと認められることから、被害者は会社に請求してくると思われます。

      この場合、会社としては、被害者に対して賠償した後で、賠償で支払った金銭を従業員に求償することになります。ただし、必ずしも全額を求償できるとは限りませんので注意が必要です。

      3.事故の態様によって責任は変わるのか

      ①社用車での事故の場合

      社用車での自動車事故は、従業員の行為が外形上、会社の事業活動の範囲内にあると認められやすく、業務中の事故はもちろんのこと、通勤中や業務外の場合でぁっても会社が使用者責任を負う可能性が高いと考えられます。 

      ②マイカーでの事故の場合

      従業員のマイカーでの事故による会社の責任について、次のような点を考慮し、会社の業務と密接に関連があると判断して、会社に責任があるとした判例があります。

      • 従業員の担当職務(外勤か内勤か)
      • マイカーの平素の使用状況
      • 事故発生時の運行目的 など

      ■業務中のマイカーでの事故

      マイカーでの業務中の事故の場合は、会社がマイカーの利用を容認していれば、会社に責任があるとされます。

      社内規定などで、毎回の社内利用を禁止していても、実際には黙認にしている場合は、会社にも責任があるとされます。     

      ■通勤途中のマイカーでの事故

      原則として、会社に責任はないとされます。

      しかし、マイカーが日常的に会社業務に利用され、会社もそれを容認、助長している特別な事情があれば会社の責任があるとされます。

      ■業務外でのマイカーでの事故

      業務外で、しかも通勤途中でもない場合には、原則として会社に責任はないとされます。

      4.会社の注意点

      従業員の通勤中や業務中の事故は、会社に責任が問われることが多いため、通勤や業務にマイカーを利用することはできれば避けたいところです。中小企業ではやむを得ずマイカーを利用する場合もあると思われます。そのため、日頃の管理が大切になります。

       

      万一の時には、

      死亡事故などの重大な事故が起こった場合、会社の初期対応が重要です。情報を集めて一刻も早く事実確認を把握するとともに、被害者遺族の被害感情を逆なですることのないよう、誠実な対応に努めてください。初動を誤ると問題が大きくなります。

           

      業務にマイカー利用を認める場合の注意点

      地域の交通事情や業種、業態によっては、社員がマイカーを通勤や業務等に使用すること認めているケースが見受けられます。しかし、マイカー利用であっても社員が重大な交通事故を起こした場合、会社が連帯して賠償責任を負うことになるため、会社は、交通事故防止のために社内規定を整備し、その順守を徹底する必要があります。

      マイカー利用は許可制、利用規定も整備

      通勤や業務でのマイカー利用について、会社として次の3つの対応が考えられます。

      ①マイカーの通勤、業務利用は一切認めない

      ②マイカー通勤、業務利用を認める

      ③マイカーの通勤、業務利用は会社の許可を得た場合にのみ認める

      通勤途上や業務中に社員がマイカーを利用して事故が発生した場合、会社は、使用者責任、運行供用者責任(人身事故の場合)などを負い、連帯して責任を負う場合があります。

      したがって、業務等でのマイカー利用は、原則禁止にしたいところですが、中小企業ではマイカー利用(出張含む)を認めざるを得ない場合もあるのではないでしょうか。

      そのため会社は以下の点に注意して、就業規則にマイカー利用についての規定を定め、その順守を徹底しなければなりません。

      万一、事故を巡る法的トラブルが発生した場合、会社が日頃から事故防止に真摯に取り組んでいたかどうかが問われることになります。

      マイカーを通勤や業務に利用する場合は事前に本人が会社へ申請書を提出し、会社が審査のうえ、許可するという方法がよいでしょう。さらに申請書の記載内容に変更があった場合は、速やかに報告することを義務づけます

      以上を踏まえて、マイカー利用規定を作成し、これを遵守するとの誓約書を社員から提出してもらいましょう。

      マイカー利用規定を作成する際の注意点

      ①自動車保険加入について定める。

      自賠責保険の加入は当然ですが、任意保険(対人、対物)への加入を義務づけます
      補償内容が十分でない場合、会社が賠償請求を受ける可能性もあるので、その点を踏まえて補償内容の下限を設定するとよいでしょう。また、保険の期限についても申告させ、管理するのが望ましいでしょう。


      ②燃料費等や駐車場利用について定める。

      ガソリン代、高速料金、駐車料金等について本人と会社の負担割合などを定めます。
      また、マイカーを利用するにあたって会社が駐車場を確保する場合には、駐車場代の管理や使用料についても定めておきましょう。


      ③無免許運転、飲酒運転等の禁止事項を設ける。

      無免許運転や飲酒運転の禁止は点当然のことですが、規定の中に盛り込みます。

       

      ④運転報告書を提出させる

      マイカーの業務使用と私的利用を明確に区別するため、行先、目的、走行距離、給油、時間などを記載した運転報告書を提出させることで管理を徹底します。

      労務トラブル社員の解雇

      勤務態度不良や能力不足などを理由として、会社が社員を解雇する例があります。しかし、このような社員の解雇は、後で裁判に発展するケースがよくあります。

      「遅刻や無断欠勤が多い」「業務命令を拒否した」「会社にあわない」「能力が低い」などを理由に、社員を解雇する例があります。

      しかし、裁判例では、労働者保護の観点から、問題のある従業員でぁっても、安易な解雇を認めないケースがほとんどのようです。

      会社は、解雇する前に、注意や指導、警告を繰り返し行うとともに、懲戒処分、降格等により、社員が自ら改める機会を与え、その結果として、勤務態度が改善されるかどうかを見極める必要があるということです。

      言い換えると、会社は、「社員自らが改善するようにもっと努力しなさい」ということです。会社にとっては、かなり厳しい考え方と思われますが、裁判では、会社が解雇を避けるために「どれだけ努力したかどうか」がかなり重要視されます。

      実際の裁判では、従業員に問題があり、解雇理由にはなるが、本件の解雇は社会通念上、相当として是認できないため違法である。とした判決もあり、冒頭の「安易な解雇を認めない」という意味がおわかりいただけると思います。     

      改善の機会を繰り返し与えること

      会社としては、勤務態度が著しく問題のある社員に対しては、改善の機会を与える目的で次のような対応をとる必要があります。

      • 注意や指導を繰り返し行う
      • 注意や指導を行った日時とその内容を記録として残す
      • 問題があったときは、再発防止策を含む始末書括(反省文)を提出させる。等

       実際に勤務態度に問題があった社員を解雇して訴訟となった事例では、会社が以上のような対応を繰り返して行ったにもかかわらず、その後改善がみられなかったためにやむなく解雇したことが認められたケースもあります。

      実際の現場では、あくまで社員によくなってもらうことを前提として注意、指導していきましょう。    

      65才までの雇用義務化やパート等の無期雇用化

      60歳の定年後も希望者全員の雇用を義務づける高年齢者雇用安定法が改正されました。その他にも、有期契約社員の5年継続雇用後の無期契約化、社会保険料の上昇など、人件費の増加につながるような制度改正が次々と行われます。

      65才までの雇用を義務化

      現行の高年齢者雇用安定法では、65才までの雇用確保のために、事業主に対して①定年制の廃止、②定年の引き上げ、③継続雇用制度のうちいずれかを導入することを義務づけています。

      このうち、継続雇用制度を導入した場合、継続雇用の対象となる基準(勤務評定や出勤率など)を事業主と社員との間で定めた場合には、その基準により希望者全員を継続雇用する義務はありませんでした。つまり、継続雇用の対象者を限定する仕組みが認められていました。

      しかし、改正によって、平成2541日からは、継続雇用の対象者を限定する仕組みが廃止され、原則として継続雇用希望者全員を雇用する必要があります。ただし、それが完全義務化されるまでの経過措置が設けられています。

      勤続5年超のパート社員は無期雇用

      労働契約法が改正され、有期労働契約のパートなどが、5年を超えて繰り返し更新した場合には、本人が希望すれば、会社は、無期限の雇用(期間の定めのない労働契約)にしなければならなくなりました。

      また、有期雇用契約を繰り返し更新することで、実質的に、期間の定めのない契約と変わらない場合は、合理的な理由がない限り、雇止め(雇用期間の満了に伴う雇用契約の終了)ができないことになります。

      厚生年金保険料が毎年上昇

      厚生年金保険料は、平成16年の法改正により、平成29年まで毎年上昇することになっています。平成29年には18.3%まで引き上げられる予定です。

      会社が負担する社会保険料の負担率の増加分は、平成29年度までの5年間で0.767%になります。これは仮に月給25万円の社員が10人いるとすれば、金額にしておよそ年間で23万円の負担増になります。

      定額残業代を支給する際の注意点

      残業代対策の選択肢の一つとして、定額残業代(残業代込みの給与)を支給している企業もあるようです。定額を残業代とは、実際に残業したかどうかや、その時間数に関係なく、残業代を毎月定額で支給する方法です。しかし、この制度によって残業代の問題がすべて解決するわけではありません。

      例えば、実際の残業時間に基づいて法定通りに計算した残業代が、定額残業代を上回るときには、不足分を追加支給しなければなりません。また、残業代が法定の額がどうかを後から計算できるような支給方法でなければ認められませんし、給与のうち、どの部分が残業代にあたるのかが明確になっていなければなりません。つまり、給与に残業代が含まれているといっても、その金額はいくらで、何時間分の残業代であるのかをはっきりさせておかなければならないのです。

      また既存の社員の基本給の一部を定額残業代制度に移行することは、不利益変更に該当をするため、導入にあたっては、社員への説明を徹底し個別に同意を取らなければなりません。

      賃金規定等への見直し等にあたって、特に注意すべきは次のような点です。

      ①手当の名称等、定額残業代に該当する賃金項目を明記しそれが割増賃金にあたる旨を規定する。

      ②実際の残業時間に基づいて法定通り計算したら割増賃金が、定額残業代を上回る場合には、その不足額を割増賃金として追加支給する旨を規定する。  

      売上はいつ計上すればよいのか?

      売上計上の期ズレに注意

      例えば、決算日が331日の会社で、請求書の締め日が20日などの時に、決算月において締め日から月末までの売上を翌期に計上してしまったということがよくあります。一般に企業取引が決算日をまたいで行われると売上計上のミスが起こりやすくなります。

      例えば、本来は当期の売上にしなければならないものが、翌期の売上になってしまったり、反対に翌期の売上にすべきものが、当期の売上に含まれるといったことにより、法人税額も変わってしまいます。

      このような問題を「期ズレ」といいます。意図的に行ってはいけないことですが、誤解や判断ミスから起こりやすく、税務調査でも厳しくチェックされるところです。

      代金をもらった時ではなく商品等引き渡した日

      いつ売上を計上するか?については、請求書を発行したり、売上代金を回収した時ではなく、税法では、商品等を相手方に引き渡した日の事業年度に売上にします。サービスなど役務を提供する場合には、役務が完了した日になります。

      つまり、3月決算法人であれば、331日までに引き渡しがあった商品等については、原則として当期の売上になります。

      また、米金など代金をすでに受け取っているけれども、商品等をまだ引き渡していないのであれば、それは前受金や仮受金として処理し、実際に納品が行われた時に売上を計上します。

      税法が定める引き渡しがあった日とは?

      ・出荷基準・・・相手の注文に応じて商品を出荷した日(倉庫から出荷した日)。一般に多くの企業が採用する基準です。

      ・検収基準・・・相手の検収日に売上を計上します。

      ・使用収益開始基準・・・不動産販売などで相手先において使用可能になった時点で売上を計上します。

      ・検針日基準・・・検針によって販売数量を確認した日に売上を計上します。

      以上の基準のどれかを適用するかについては、会社の取引の内容、商品の種類、販売形態等に応じて、合理的な基準であれば認められます。ただし、採用した基準を毎期継続して適用しなければなりません。

      請負契約による物の引き渡しがある場合の売上の計上

      請負には、建設請負のようにものの引き渡しを要するものと、運送や技術指導などの役務の提供だけのものがあります。

      建設請負など、請負契約に基づいて完成物等の引き渡しが行われる場合は、そのものの全部を引き渡した時において売上を計上します。

       

      売上関係の書類の整理保存も必要です。

      売上を計上した時点を証明できるよう、受注から出荷、納品、相手先での検収、代金回収までの流れにおいて作成された帳簿書類を整理保存しておきましょう。

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